イトウ魚っちんぐ

 

GW直前の4月下旬、北海道北部のオホーツク海に面した猿払村にイトウ魚っちんぐに出かけた。イトウの産卵期はサケ科の魚には珍しい春の雪どけの時期である。道北はまだ春が訪れたばかりだが残雪の合間から水芭蕉やエゾノリュウキンカの花が顔をのぞかせている。やや乾いた場所に青く群生しているのはエゾエンゴサクだ。

イトウの産卵場所は湿原の川の上流や支流。ここ数年は雪が多く、産卵場所まで徒歩で何時間も歩いてのアクセスになっていたが、今年は雪が少なかったおかげでかなり奥地まで車で入れそうだ。運転にもタレックスのイースグリーンのサングラスを掛けている。明るくくっきりと景色が見えるので残雪交じりのコントラストの強い風景にも目が疲れることはない。しばらく進むと林道は残雪に覆われていてこれ以上は進めない。車を降りてここからは徒歩になる。産卵場所はもう少し上流だ。眼下を雪解けでミルクティーのように濁った川が幾重にも蛇行しながら流れている。1時間ほど川沿いの林道を歩いただろうか。背中のカメラバッグが肩に食い込み額に汗がにじんできたところで小休止。雪の上に腰を下ろしペットボトルのお茶を飲みながら川を覗くと、熊笹のカバーの下に真っ赤な婚姻色に身を包んだ溯上中のオスが目に飛び込んできた。雪解けで濁っているうえに逆光気味の光線状態だったのだが、ここでもイースグリーンのサングラスが威力を発揮してくれた。近寄って良く見ると頭部から胸ビレまでは黒ずみ、そこから尾ビレまでが鳥居のような彩やかな赤に染まっている。思ったよりも大きな90センチクラスだ。今年は幸先良くイトウと出会うことができた。水中カメラを取り出し撮影の準備にとりかかる。これから丸2日間この沢でいったい何匹のイトウと出会えるだろうか?!そして1メートルを起すイトウには出会えるのだろうか?

                          知来 要

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知来 要
 ちらい よう
1956年埼玉県生まれ。写真家。
プロ野球を中心に、スポーツ写真を撮影。著書は「森のフィッシュ・ウォッチング」(つり人社)、「メジャーリーグ写真集」(ベースボールマガジン社)など。FF歴約7年。
フライフィッシャー誌(つり人社)で鮭鱒のフォトエッセイを連載中!

知来要さんのブログです。

森のフィッシュ魚ッチング

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